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日本環境教育学会2012年度 第23回全国大会(東京・立教大学)

日本環境教育学会2012年度
第23回全国大会(東京・立教大学)
実践発表及び研究発表・報告

●主 催
日本環境教育学会


も く じ
環境教育学会の発表と総会・8月11日
環境教育学会での発表・8月12日
SIP実践発表・本多孝
SIP研究発表・山口雪
発表要旨PDFファイル。


日本環境教育学会2012年度
第23回全国大会(東京・立教大学)
実践発表及び研究発表・報告

DSC02068ms環境教育学会の発表と総会、
公開講演会

環境教育学会の発表と総会・8月11日11日は、学会会場である池袋の立教大へ行きました。
ステキなキャンパスの大学です。この日は、学習論の会場で3人の発表を、環境人材の会場で3人の合わせて6人の発表を聞きました。
環境人材では、大学院の人材育成のカリキュラムについての研究発表がありました。技術や知識は伝えたり、学んだり出来ますが「態度についてはどう育てるのか」と質問してみました。簡単に育てられない難しい課題です。
夕刻より、学会の総会が開催され事業の報告や計画、予算決算を了承して1時間で終了。
その後、作家の池澤敦雄氏による「持続可能な未来をえがく環境教育」と題して1時間半ほど講演されまいた。
原子力を手に入れた、文明を持つ人類ですが、安全を強調すればするほどそれだけ多くの危険が潜む。スリーマイル島、チエノブィリ、そして福島と短い期間に大きな事故が起こっています。人類の暮らしを変えないと滅亡への道を歩む事になる。そんな危機感を持ちました。
環境問題はもはや複雑に絡まりあってきて簡単に解決できる状況ではなさそうです。人類の英知を結集してこの危機を乗り越えられるように環境教育の役割は大きいと思いました。


DSC02133ms環境教育学会での発表

環境教育学会での発表12日は、口頭発表の2日目。
この日は、発表をする日です。
10時からA会場で、50人ほどの参加がありました。
はじめに、「スクールインタープリターによる校庭での自然体験型環境教育活動(1)」として環境目標・理念に基づく新たな指導者養成の開発と実践について、(社)IPNET-J代表理事の本多孝氏が発表。
発表の構成として以下の内容で行なわれました。
1環境教育指導者養成の開発にいたる背景
2環境教育指導者養成の開発の内容検討
3環境教育指導者(スクールインタープリター)養成の実践
4スクールインタープリターの学校での実践
引き続きの発表として、岡山短期大学幼児教育学科の山口雪子氏から、「スクールインタープリターによる校庭での自然体験型環境教育活動(2)」として小学校ゲストティーチャーが及ぼす教育的効果に関する研究を発表。
その後もうお一人の発表後、20分間の質疑応答が行われました。
環境教育学会での発表は、この講座を見直すいい機会であったとともに、学会と言う席で他者の評価を聞けるいい機会が出来たと思います。
多くの研究者や実践者が関心を示してくださり質問が集まりました。また、終了後や昼食前の時間外にも何人かの方が、意見をおっしゃってくださいました。 座長の先生も、質問したかったが他の参加者に譲られて、控えてくださいましたが、終わってから、共同研究者のところで意見交換しにきてくださいました。
学会では、ご無沙汰していた先生方と再会でき、懇談も出来てうれしく思いました。
とても手ごたえのあった発表でした。
ある先生が評価くださった、環境教育の行動する人材育成はどこでも言われるが、実際にそこまでをつなげているのは初めてだと、長年の活動の上に作り上げ、常に改善を心がけてきた結果が一定の評価を得れたと思いました。これからもさらに環境教育のあり方と、指導者養成について検討・実践を続けて行きたいです。
(文責 本多孝)


スクールインタープリターによる校庭での
自然体験型環境教育活動(1)
-環境目標・理念に基づく新たな指導者養成の開発と実践-

一般社団法人IPNET-Jイプネット・ジャパン
発表者、代表理事 本多 孝

キーワード:スクールインタープリター、自然体験型環境教育、環境教育目標、指導者養成、小学校ゲストティーチャー

身近な地域の自然を子ども達と観察し環境教育にかかわってきた。自然の中で活動する団体や個人は様々で、活動内容も多様である。それは、自然の知識を教えるものや自然と遊ぶ自然愛好家・団体などである。
80年代後半から90年代後半にかけ地域で大規模な国、府、市の行なう開発事業が多発し、自然の中で起こっている問題に関心を持ちその解決のために様々な活動を実行してきた。しかし前述の自然愛好家・団体や自然の知識を教える活動を行なう人たちが、フィールドで問題に直面してもその問題に関心を示さず、また問題解決の行動を取らない場面に数々直面した。
環境教育の原点ともいえるベオグラード憲章・環境教育の目標(1)を再確認する必要がある事を認識し、自然体験型環境教育のあり方、そのための指導者養成のあり方を検討、実践した。スクールインタープリター(SIP)養成講座でSIP像を、自然保護・環境問題の解決のために以下の4つを目指す人材とした。
(1)SIP自身が理念・信念を持てる事を目指す。
(2)自分の理念・信念を姿・行動で示し続けられる環境教育指導者を目指す。
(3)自然を大切にする事を理念として持てる事を目指す。
(4)子ども達に楽しい自然体験をさせるスキルを持つ事を目指す。
これらの指導者像を掲げたのは、環境教育を行なうものがまず、問題解決能力及び実行力を身に付け実践している事が、子ども達にそれらの力を育てる人的環境として重要と考えたからである。その結果をまとめSIP養成入門講座として環境教育推進法(2)にもとづく環境省、文部科学省の登録を得た。
講座プログラムの中で、SIPとして自然を大切にするために何を伝えたいのか、どんな行動をする人材を作りたいのか、フリップカードに書き、野外実習の際に必ず体験を通じて参加者に伝える事を重視した。
養成講座を終了したSIPは、全国に約千人おり、学校内の授業において自然体験型環境教育を行なっている。SIPは、子ども達自身が能動的に自然とふれあい、探し、発見する体験活動を通じて子ども達とのコミュニケーションを重視し、自尊心や好奇心を引き出して、行動力を育てている。自然体験活動の中では、気づきや学びから、身近な地域の自然を大切にするために、問題を解決する行動力を身につけた人材になってほしいメッセージを伝えている。
今後の課題として、SIPを養成する講師を増やすことが求められる。SIP養成講師は、SIP像を目指す人材育成を進めるものである以上、それらをすでに身に付け問題解決のための行動を行なっている事が前提となる。そのような人材の発掘、養成の仕組みや講師活動の推進の検討が急がれると共にSIPのフォローアップが重要と考えられ、人材育成の体系的システムの整備があげられる。(1)ベオグラード憲章 環境教育の目標(ゴール)は次のとおりである:環境とその関連する問題に気づき、関心を持つと共に、現在の問題解決や新しい問題を防止するために、個々にまたは集団でそのための知識、技術、態度、意欲、関わりなどを目的達成のために意識的、意図的に働く住民を世界中に育てることである。
(2) 環境保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律


スクールインタープリターによる校庭での
自然体験型環境教育活動(2)
-小学校ゲストティーチャーが及ぼす教育的効果に関する研究-

岡山短期大学幼児教育学科
発表者:准教授 山口雪子

キーワード:スクールインタープリター、自然体験型環境教育、小学校ゲストティーチャー、生活科、人的環境

環境教育の手法として子ども達が主体的・能動的に学べるといった特徴から様々な体験型学習方法が用いられている。体験型学習には直接体験するものと模擬的体験を行うものに大別されるが、多くの体験型学習方法は直接・模擬的にかかわらず、導入(活動説明)・体験活動・振り返り(体験からの気づきのわかちあい)・まとめ(学習目的の理解)で構成されている。スクールインタープリター(SIP)活動は小学校の校庭など身近な自然を用いた直接的体験学習方法を用いている。活動の目的として「自然を大切にするための行動・意欲を育む」ことを掲げ、特徴として①身近な自然を子ども達の感性で観て探す・②体験活動中も積極的に子ども達と関わることがあげられ、特に②は子ども達の主体的能動的活動を期待して体験活動中指導者が見守り型になるスタイルの体験型学習とは特異的と伺える。本研究では体験型学習における指導者としての人的環境の在り方を検証し、体験型学習方法において高い教育的効果を得るための人的環境である指導者の役割を明示することを目的に、箕面市中小学校1・2年生生活科におけるSIP活動に関する評価を行った。
平成22・23年度、1・2年生生活科それぞれに各学期1~2回5~8名のSIPがゲストティーチャーとして授業参加しSIP活動が行われた。1クラスを2グループに分け、1~2名のSIPが指導者として活動を担当、45分の授業時間を全体挨拶と活動説明・グループに分かれての活動とわかちあい・全体振り返りとまとめ、に構成し実施された。上述した特徴として「つるつる・ざらざら」葉っぱのグラデーション」「冬を感じるもの」といった子ども達の感性を活かす活動テーマが示され、グループ活動中はSIPが見つけたものを持ってくる子供達に応対するだけでなく見つけられず悩んでいる子どもがいないか目配り声かけを積極的に行っている姿が観察された。
また最後には小学校校庭の自然から地域の自然へと関心を広げることが伝えられ、自然を大切にするための行動・意欲を促す言葉でまとめられていた。年間活動終了後、小学校担任へのアンケートを実施しSIP活動に対する他者評価を行った。アンケート結果からは、校庭といった身近な自然から様々なものが発見でき、子ども達が自然への興味・関心を持ったという環境教育に対する効果だけでなく、子ども達へのSIPの積極的受容的態度が自己表現力・コミュニケーション力といった人間性の育みに対する効果があったと担任の先生方が感じていることが示され、SIP活動の特徴である体験活動中の人的環境として子ども達との積極的な関わりが重要であることが伺えた。今回の検証から体験型学習における人的環境としての指導者の役割に体験活動中の行動・態度があり、教育的効果をあげるためにも積極的・受容的な指導者の姿が求められることが推察された。


日本環境教育学会2012年第23回全国大会発表資料

当日会場で配布された資料をPDFファイルにいたしました。
スクールインタープリターによる校庭での自然体験型環境教育活動(1)及び(2)資料・PDFファイル