2018_0901兵庫教育9月号に実践活動報告が掲載されました

ipnetj   2018/09/01   2018_0901兵庫教育9月号に実践活動報告が掲載されました はコメントを受け付けていません。


兵庫県教育委員会が発行する「兵庫教育」にスクールインタープリターの実践報告の原稿依頼があり9月号に掲載されました。ご紹介します。

「e- みらっそ環境教育プロジェクト」とは
30年前から,宍粟市,西脇市,小野市,姫路市,たつの市,赤穂市などで小中高生や学童保育所,大人を対象に自然体験型環境教育に取り組んできた。
平成23(2011)年に宍粟市において環境基本計画が策定され,環境教育を1つの柱として取り組むことになった。その実行組織として今までの経験を生かして「e-みらっそ環境教育プロジェクト」を立ち上げた。
当初は,宍粟市立の山崎小学校と千種小学校の2校から始まり,2~4年生対象で各学期1回の年3回で実施してきた。現在は,宍粟市内の戸原小学校,城下小学校,山崎小学校,山崎西小学校,伊水小学校,神野小学校,河東小学校,はりま一宮小学校,波賀小学校,千種小学校で毎学期実施し,単発で都多小学校でも行っている。さらには,幼稚園3園,夏休みには学童保育所6か所,山崎図書館等でも実施している。他の西播磨地域へも活動が広がりつつある。
「e- みらっそ環境教育プロジェクト」のメンバー
「e-みらっそ環境教育プロジェクト」はボ
ランティアで実施しているが,学校教育の一部をお手伝いさせていただくので,全員が文部科学省・環境省登録スクールインタープリター養成講座の修了者である。
メンバーは,小学校教諭や大学非常勤講師のOB,塾講師など子どもと環境に関わる方々が主となって活動している。
小学校ではゲストティーチャーの位置づけで活動させていただいている。

宍粟市立城下小学校の環境教育活動
城下小学校は,環境教育に地域とともに熱心に取り組まれている小学校だ。
平成29年度の,西播磨県民局県民交流室環境課が主催する「こども環境教育リーダー実践発表会」は,西播磨県民局からの依頼があり,「e-みらっそ環境教育プロジェクト」がコーディネートを行った。
その際に発表会の会場を引き受けてくださり,2~3年生を中心に全校生参加で発表された。会場準備や発表準備でも大変お世話になった。
城下小学校では,2年生の自然体験型環境教育の実践と,4年生の防災教育のお手伝いをさせていただいているが,本稿では2年生の実践について報告する。

五感を使って自然を感じる体験
平成30年度1学期の取組は,自然と人の関わりを中心に,身近な校庭の自然を対象に「五感を使って校庭の自然を探してみよう」を実施した。2年生の児童は五感を常に使って情報を得ているが,五感という言葉はわからないようだ。はじめに見たら何が分かる?と聞くと「色」「形」「大きさ」などと声が出た。
聞いてみたら?「鳥の声」「風の音」,におってみたら?「くさい」「いいにおい」「花のに
おい」,さわってみたら?「ザラザラ」「つるつる」,食べてみたら?「おいしい」「あまい」
「からい」と感じ取れることを言ってくれた。
そういう5つの感覚を使って感じることを五感と言うんだよと説明した。
そして,なぜ五感で自然を感じることが大切なのかクイズを出した。児童はクイズが大好きだ。自然の中から発見された生活に役立っているものは何か?①ハエたたき②クシ③マジックテープ。正解だと思うものを順番に聞くと,ほとんどバラバラに手が上がった。「答えは③のマジックテープです」みんなの靴についているマジックテープをさわってもらうと「片方はふわふわしているけど片方はチクチクしている」と返ってきた。自然の中にそんなのあるかなと聞くと,「ひっつきむし」,中には「オナモミ」という声も。まさにオナモミからヒントを得てできた便利なグッズだ。「だから五感で,しかも身近にいつもある自然を見ることが大切なんだよ」と話した。
体験活動では,ワークシートの説明をした。探すものは,①色や形(視覚),②においがするもの(臭覚),③手触り(触覚),④音がするもの(聴覚),⑤他になんでも。今回,味わう味覚を使わない。そして,各班を担当するゲストティーチャーがリーダーとなって見本を見せ,良かった理由を話す。ワークシートを作るのは,結果を目で見られるようにするためだ。教室に掲示したり家に帰ったら見せたりできるようにしている。「あとで発表会(振り返り)をします」と知らせて,班分けして各班にリーダーがつく。通常,学校の大小にもよるが,2~4班に分ける。2クラスある場合は,1クラス45分で次の時間にもう一クラスで同じことをする。

思考力・表現力・自尊心を高める工夫
少人数の班を作る理由は,リーダーと児童のコミュニケーションをしっかりとるためだ。児童が見つけたものを見せてもらい,良かったところを聞いたり,一緒に探してサポートしたりしている。そして児童の発見を「すごい!!」と褒めて共有している。

見つけたものをワークシートにセロテープで貼り付ける。
そしてみんなで発表会をする。班ごとに前に出て頭の上に掲げ,みんなに見てもらう。
その後一人一人に発表してもらうが,そのときリーダーは「探していて良かったのはどれですか。その理由を聞かせてください」と尋ねる。知識を尋ねたら正解,不正解しかない。良かったのがどれで,なぜ良かったかの理由はその児童にしか分からないことだ。これなら発表に不正解はない。自分だけの発見だからこそ,自分の中で意味があって,ちゃんと表現し,仲間に伝えようとする。

自分で思考し,発表のために表現する。そのことで思考力・表現力・自尊心やコミュニケーション能力を育てている。そして一人一人にいいねカードをリーダーの「すごいね」「良かったよ」という言葉で褒めて渡している。

ねらいは,自尊心を持ってもらうためだ。環境教育の目標は,手段として自然の知識やふれあい,親しみのための取組は必要だが,最終目標は,環境問題を解決する行動がとれる実行力のある人を育てることだ。「僕なんか何をしても一緒」と自信がない児童に,自尊心を育てることも考えてプログラム化しないと環境教育にならない。そのために,褒めることに力を入れている。児童が「いいねカードを勉強机に貼っている」とか「大切にしている」「嬉しかった」「褒めてもらえたので頑張って発表できた」とあとで教えてくれた。
まとめで,「身近ないつも見られる自然でも人の暮らしに役立つものがたくさんある。身近な自然を大切に」と話して先生にバトンタッチする。
児童が「楽しかった」「もっとしたい」「考えながら探すのがよかった」「またやりたい」と言ってくれた。
45 分間のプログラムの特徴
この自然体験型プログラムの特徴を以下にあげる。
・校庭で45分間で終わるので,特別な体制は必要なく,体育の授業で運動場に出る感覚でできる
・通常の時間割の中に入れることができ,他の行事があっても,授業時間があれば問題なくできる
・見過ごしている校庭の身近な自然の中でも自然体験ができ,よく見ると様々な草花があり,知らなかったこともよく見えてくる
・児童とコミュニケーションを進め,発表会で思考力・表現力を高め,いいねカードと褒めることで自尊心を育てている
先生方から4年間毎年アンケート調査を行ったところ「校庭でこんなに自然体験ができると思わなかった」「通り過ぎるだけの中庭の自然にこんなにいっぱい草花があると思わなかった」と驚きの声があった。また,「今まで気づかなかった児童の姿に驚いた」「児童にこんな特技があると思わなかった」と気づきの声があった。
今後も小学校での自然体験型環境教育の取組を充実させていきたい。