2018_0826日本環境教育学会第29回大会での口頭発表

ipnetj   2018/08/27   2018_0826日本環境教育学会第29回大会での口頭発表 はコメントを受け付けていません。

日本環境教育学会第29回大会が、今年度は東京都小金市内の東京学芸大学で開催されました。

実践について
今年度6月に実施。
兵庫県宍粟市のほとんどすべてである10校の小学校で行った。
対象は2年生。生活科の授業の中で行った。
45分間の1時間授業の範囲で行った。
場所はすべて学校の校庭にある自然を対象とした。
五感を使って自然を感じる体験
平成30年度1学期の取組は,自然と人の関わりを中心に,身近な校庭の自然を対象に「五
感を使って校庭の自然を探してみよう」を実施した。2年生の児童は五感を常に使って情
報を得ているが,五感という言葉はわからないようだ。はじめに見たら何が分かる?と聞
くと「色」「形」「大きさ」などと声が出た。聞いてみたら?「鳥の声」「風の音」,におっ
てみたら?「くさい」「いいにおい」「花のにおい」,さわってみたら?「ザラザラ」「つる
つる」,食べてみたら?「おいしい」「あまい」「からい」と感じ取れることを言ってくれた。
そういう5つの感覚を使って感じることを五感と言うんだよと説明した。
そして,なぜ五感で自然を感じることが大切なのかクイズを出した。児童はクイズが大
好きだ。自然の中から発見された生活に役立っているものは何か?①ハエたたき②クシ
③マジックテープ。正解だと思うものを順番に聞くと,ほとんどバラバラに手が上がった。
「答えは③のマジックテープです」みんなの靴についているマジックテープをさわっても
らうと「片方はふわふわしているけど片方はチクチクしている」と返ってきた。自然の中
にそんなのあるかなと聞くと,「ひっつきむし」,中には「オナモミ」という声も。まさ
にオナモミからヒントを得てできた便利なグッズだ。「だから五感で,しかも身近にい
つもある自然を見ることが大切なんだよ」と話した。
体験活動では,ワークシートの説明をした。探すものは,①色や形(視覚),②にお
いがするもの(臭覚),③手触り(触覚),④音がするもの(聴覚),⑤他になんでも。今回,
味わう味覚を使わない。
そして,各班を担当するゲストティーチャーがリーダーとなって見本を見せ,良
かった理由を話す。
ワークシートを作るのは,結果を目で見られるようにするためだ。教室に掲示したり家
に帰ったら見せたりできるようにしている。
「あとで発表会(振り返り)をします」と知らせて,班分けして各班にリーダーがつく。
通常,学校の大小にもよるが,2~4班に分ける。2クラスある場合は,1クラス45分
で次の時間にもう一クラスで同じことをする。
思考力・表現力・自尊心を高める工夫
少人数の班を作る理由は,リーダーと児童のコミュニケーションをしっかりとるため
だ。児童が見つけたものを見せてもらい,良かったところを聞いたり,一緒に探してサ
ポートしたりしている。そして児童の発見を「すごい!!」と褒めて共有している。見つけたものをワークシートにセロテープで貼り付ける。
そしてみんなで発表会をする。班ごとに前に出て頭の上に掲げ,みんなに見てもらう。
その後一人一人に発表してもらうが,そのときリーダーは「探していて良かったのはどれ
ですか。その理由を聞かせてください」と尋ねる。知識を尋ねたら正解,不正解しかない。
良かったのがどれで,なぜ良かったかの理由はその児童にしか分からないことだ。これな
ら発表に不正解はない。自分だけの発見だからこそ,自分の中で意味があって,ちゃんと
表現し,仲間に伝えようとする。
自分で思考し,発表のために表現する。そのことで思考力・表現力・自尊心やコミュニ
ケーション能力を育てている。そして一人一人にいいねカードをリーダーの「すごいね」
「良かったよ」という言葉で褒めて渡している。
ねらいは,自尊心を持ってもらうためだ。
環境教育の目標は,手段として自然の知識やふれあい,親しみのための取組は必要だが,
最終目標は,環境問題を解決する行動がとれる実行力のある人を育てることだ。「僕なん
か何をしても一緒」と自信がない児童に,自尊心を育てることも考えてプログラム化しな
いと環境教育にならない。そのために,褒めることに力を入れている。児童が「いいねカー
ドを勉強机に貼っている」とか「大切にしている」「嬉しかった」「褒めてもらえたので頑
張って発表できた」とあとで教えてくれた。
まとめで,「身近ないつも見られる自然でも人の暮らしに役立つものがたくさんある。
身近な自然を大切に」と話して先生にバトンタッチする。
児童が「楽しかった」「もっとしたい」「考えながら探すのがよかった」「またやりたい」
と言ってくれた。
45 分間のプログラムの特徴
この自然体験型プログラムの特徴を以下にあげる。
・校庭で45分間で終わるので,特別な体制は必要なく,体育の授業で運動場に出る感覚
でできる
・通常の時間割の中に入れることができ,他の行事があっても,授業時間があれば問題
なくできる
・見過ごしている校庭の身近な自然の中でも自然体験ができ,よく見ると様々な草花が
あり,知らなかったこともよく見えてくる
・児童とコミュニケーションを進め,発表会で思考力・表現力を高め,いいねカードと
褒めることで自尊心を育てている
先生方から4年間毎年アンケート調査を行ったところ「校庭でこんなに自然体験がで
きると思わなかった」「通り過ぎるだけの中庭の自然にこんなにいっぱい草花があると思
わなかった」と驚きの声があった。また,「今まで気づかなかった児童の姿に驚いた」「児
童にこんな特技があると思わなかった」と気づきの声があった。
実践活動から思うには
自然体験や環境問題を伝え行動を促すだけでなく、子ども達の行動力を引き出す内容も必要と考える。
思考力、表現力、コミュニケーション能力を高め自尊心を育てる内容をプログラムの中に組み込むことも必要だと考える。
褒めて伸ばすことの大切さを感じている。