子供を育てる事と環境教育

ipnetj   2014/04/12   子供を育てる事と環境教育 はコメントを受け付けていません。

子供を育てる事と環境教育の共通点

子供を育てる事と環境教育1 (社)IPNET-J代表理事 本多孝

環境教育についての一考です。(長文で失礼します)
環境教育は、地球温暖化やライフスタイル、ゴミ問題、自然の事、人がうまく環境と暮らしていた里山、農耕文化を学んだりと科学的な事や自然の事、社会的な事、文化的なこと、暮らしの知恵など様々に取り組まれています。

環境問題を学習する事は環境教育の中心であり、問題解決の道筋を知る事が大切です。しかし、これでいいのだろうかといつも疑問に思います。知識はあっても、その解決のために行動できるのか。単に知識を身につけるだけで終わってしまわないか。
環境を学んでも、受け取る子ども達に自尊心や意欲、思考力や表現力、コミュニケーション能力が無いと問題解決の行動へと進む事は、大変なことです。

環境教育は、環境や問題を学ぶだけでなく人格形成を進める人育てが大切であると、IPNET-Jはスクールインタープリター養成を進めています。その事を改めて考えてみました。

最近の大津のいじめ問題に心を痛めています。環境教育(ベオグラード憲章)の目標は、環境意識を持ったり環境問題解決行動が取れる人づくりです。
子供の周りにある環境問題は、地球規模の環境問題でもあります。学校のいじめは、身近で起こった環境問題です。地球規模では、大国のエゴにより、新興国から資源を収奪したり搾取したり、貧困を広げています。貧しい者と富める者の格差の問題は、解決の方向へは向かわず、COP会議や地球環境サミットでも大国のエゴからまとまらないことがたびたびあります。
強い者と弱い者の関係は、そのまま子ども達の環境でもあります。子どもの周りの環境で、その身近な大問題に関心、意欲、自尊心、そして思考力、コミュニケーション能力を持つ事が問題解決につながります。その大もとの人育てがないと、環境問題や自然、社会、文化を学ぶ事は大切ですが、充分とはいえません。

ある学校で、能力別(出来る子にはそれ以上に、出来ない子にはそれにあった教育)と言う名のいい言葉の教育方法が取られたとき子ども達に変化がありました。出来ない子ども達は、ほめられることなく、どうせ何をしてもダメなんだと、自尊心を失った集団が出来てしまいました。委員会活動でもやはり花形委員会と行く場が無い子達が集まる日陰委員会があります。その委員会で部長・副部長を決めるとき「どうせ何も出来ない」「僕なんかどうでもいい・・・」と言う思わぬ反応がありました。
これでは問題解決行動を取ると言う環境教育は、どんなに環境の問題を学んでも解決につながらないのは明らかです。

以前、地域で自然観察会を行なったときにクラスの子ども達が常連で参加してくれていました。
その中には前者のような、いわゆる問題児もいました。勉強でもふるわず、ほめられる機会も無い子供です。でも観察会のときは一生懸命探して見せてくれました。私は字書き虫の葉っぱは知っていても中にどんな虫がいるか見た事がなかったけれど、それを見つけ教えてくれたのはその子でした。いつも観察会では「すごいね」「観察名人だね」とほめていました。その子は観察会を4年生から6年生まで一度も休まず来てくれて、見つけ係としてスタッフにしてしまいました。
そうするうちにその子は学校で、今までは、何もとりえが無いと思っていたのに、「私の得意なものは自然観察です」とはっきり言うようになりました。しかし自然の事はなに一つ学んでいないかもしれません。花の名前一つ覚えていないのですから。しかし自尊心を身につけてくれて、6年生では、自然観察クラブの部長に立候補してくれました。
環境教育でどこもやってこなかったのは、実は基本となる人育てです。環境教育は問題解決能力を身に付けた人間を世界中に育てる人育てであると言う基本よりも環境問題や環境を知る教育に力を注いできたところがあります。

環境教育はどちらかと言うと、電車の中でお年寄りに席を譲る道徳教育に似ているかもしれません。体の不自由な人を助ける行動も環境教育です。そういう身近な環境の問題から人類存続の危機に関わる地球規模の問題解決行動をとる人を育てる事も同じ事です。

大津のいじめ問題で勇気ある女子生徒が告発した事は、すごい問題解決行動といえるでしょう。でもそれを受けとめられなかった学校側こそ問題解決能力を失っていたといえます。学校も様々な困難な問題を抱え、先生も意欲があったものがなえてしまうような状況があったのかもしれません。でも結果が最悪の事態となった今、環境問題を解決するためには問題を理科学的・社会学的に知る事だけでなく、人育てが大切であると理解できるのではないかと思います。

スクールインタープリターの行なう環境教育がその人育てに重点が置かれているところが、他者との大きな違いです。自然体験プログラムの仕組みも人育てに重点が置かれています。
子ども達と向かい合うとき、3原則をいつも指導者に伝えています。「しゃがむ、目を見る、ほめる」です。同じ目線で対等に、目を見て信頼し合い、ほめて伸ばす。環境教育指導者は良き人としての見本になる事ではないかと思って活動しています。

SIP講座で伝えたかった事が伝わったか、いつも考え改善しているところです。
以上。